2025年1月27日
日本防災士会理事長代行
植村 信吉
特定非営利活動法人日本防災士会において、2023年度に不正な支出が確認されました。各支部や地域において地域防災力向上を目指す本会において、このような不正行為が発生したことを大変重く受け止めております。また、本会に大きな期待を寄せて頂き、これまでご支援を頂いて参りました日本防災士機構を始めとした防災関係団体の皆様、さらに私どもが進める活動にご理解を賜りご支援ご協力を頂いてまいりました全国の自治体防災部局の皆様、そして何よりも全国で活動する会員の皆さまのご期待を裏切るような事態になったことを心苦しく思い、深くお詫びいたします。加えて、組織としてこの不正問題の対処と経過について公式な発表に時間がかかったことをお詫び申し上げます。今後は、このようなことを二度と起こさないために、現在、不正防止のための取組みと組織強化に向けて、以下のとおり進めておりますのでご報告いたします。
1.不正な支出の概要
2023年2月に不正な支出が発覚。当事者である大石元副理事長に説明を求めると共に理事会内部に特別検証委員会を立上げ調査を行う。2024年に特別検証委員会にて明らかになった事実及び、監事からの報告に基づき当事者から聞き取り調査を行い、同年4月21日開催の臨時理事会にて当事者を永久除名処分とすることを決定し当事者へ同年5月20日に通知。
2.関係者の処分
〇理事長は辞任。(2024年度総会にて辞任表明)
理事長報酬の返納6ヶ月分(2024年3月〜8月分および9月以降の報酬辞退)
但し、NPO法に基づくと所轄庁(東京都)への報告義務が生じることから次期総会までは名義上の理事長とし、実質的な運営は新たに選任された執行体制での運営とした。
〇副理事長4名は辞任(9月に辞任表明、9月29日の臨時理事会で承認)
3.不正行為の原因と対策
今回の不正問題が起こった最大の原因は、一人の理事が全てを取り仕切る運営とそれを許してきた組織体制と考えております。よって「みんなで考え、みんなで決める」という本来の姿に戻すべく取組みを開始しております。
<不適切支出の原因と対応策>
本会名義のクレジットカードが5枚あり、その1枚が不適切使用に使われていた。他4枚の不正使用は確認されておりませんが、本会のクレジットカードは決済に必要な1枚に整理。
<本会の執行体制の不備とその対策>
組織の三役、特に副理事長の職務が明確化されておらず、一人の副理事長が常務理事を兼務するという状態。組織運営を把握できる者(常務理事)が不在。
各副理事長の役割を組織担当、事業担当、渉外担当と明確化し、次年度総会までは理事長代行以下の組織体制を確立。
〇理事長代行:植村信吉
〇副理事長:伊藤友彦(事業担当責任者、副渉外担当)
〇副理事長:大月真由美(組織担当責任者、副事業担当)
〇副理事長:高木一彦(渉外担当責任者、副組織担当)
〇常務理事代理:山本賢一郎
なお、委員会は各委員会の所属の理事が責任もって運営する形に整理しました。(2024年10月27日理事会で承認)
<事務局体制及び会計処理>
事務局員が大幅に入れ替わるという事態を招いたことを検証しつつ、これまでの会計処理は「(株)MAGARIMONO」に委託契約という状態。(株)MAGARIMONO との契約終了(9月末)を受けて、以後は、財務委員会で会計決済関係の整理と決済システム案を作成中。また、会計専属職員(非常勤パート)を公募し、候補者2名の中から1名採用。
<会費納入方法の課題と対策>
2023年10月より会費納入方法をクレジットカード決済、口座振替へ変更。理事会ではこの件に対する異論も出されたが半ば強引に大石元副理事長が導入を進めた。上記3にも記載したとおり、一人の理事が全ての組織運営を取り仕切る典型的な事例の一つであり、本会の年齢別組織構成を顧みない行為と捉え、当時の理事も大いに反省すべき事柄と捉えています。
自動継続決済導入をめぐって会員に混乱を招いたことを踏まえ、特別検証委員会や総務財務委員会にて、元の振り込み方式へ戻すべく検討して参りましたが、当該会社との契約条件に中途解約の場合違約金が発生することから、当面は自動継続決済と振込方式の併用で進めながら、現在、最善の方法を模索中。
<議連との関係>
本会の組織内に、いつ誰が議連を組織してきたかの調査を行いましたが経緯を知っている者がいないという事実が判明。まずは、今回の不正問題を受けて本会の組織から議連を外すことを決定。(2023年7月10日議連総会)また本会から議連へ助成金が支払われていたことから議連へ活動報告、会計報告書の提出を求めた。結果、報告書が提出された。
本会としては、議連の会計処理については本会と別団体となったことから議連自身で整理し、新たな執行体制の構築を申し入れた。
議連の報告によると、議連会計はそのほとんどを大石元副理事長が仕切っていた経緯を踏まえて、議連から大石氏へ内容証明付きで会計報告をするように申し入れ中である旨の報告を受けた。
本会としては、その結果を受けて補助金の不正使用が明確になれば大石元副理事長へ賠償請求を行うか否かの協議を弁護士と相談の上決定する予定。
4.定款及び規程の整理
<定款改正について>
定款については昨年度総会での提案が整理された上での提案でなかったことから会員の混乱を招き、東京都NPO担当部局から修正の指摘を受けた。
組織が不正問題の対応や以後の組織体制が確立していなかった条件下での対応であったにせよ、起こってはいけない事態と重く受け止めております。
現在、専門家(司法書士)を加えて担当部局と修正点を協議しおり、次年度総会にて定款改正案を図るべく準備中。
<規程関係の整理>
特別検証委員会の調査によると各種規程は様々な形で存在しており、実質、どの規程が有効かを見極めるのが難しいとの報告を受け、組織強化に向けて順序立てて整理する方向性を確認。現在、以下のとおり進めています。
①役員選任規程(2024年10月27日理事会で承認)
②支部規程(2025年1月現在、理事会で審議中)
③会員規程(2025年1月26日理事会で承認)
④財務関係の規程は、財務委員会を中心に案を作成中であり、随時、理事会へ提案予定
⑤その他の規程は、随時、理事会へ提案準備中。
5.本会の正常化と組織強化に向けて
現在、組織の正常化に向けた取組みを進めて行く上で新たな課題が浮上しました。新たな課題とは、会員全員が今回の不正問題を受けて前を向いて歩んでいこうという気概を持ち得ていないという点です。日本防災士会は変わろうとしていることを会員や関係諸団体にキチンと指し示すことが未だ不十分であることが原因と考えます。まずは、現理事全員が気持ちを新たに取組むことからスタートし、理事の職務を明確化しながら次期総会にて新たな体制を構築すべきと考えております。
“災害の時代”と言われる今こそ防災士が生まれてきた経緯に立ち返り、防災士会として何をすべきか、何ができるのかを考える視点を持ちたいと思います。地域防災力の向上という使命だけでなく、災害発生時に果たすべき役割を会員一人ひとりと一緒に考え、会報第87号において「防災士会のこれまでとこれから」で提案した内容を実践していくことから始めたいと思います。
最後に、組織の正常化と改革は一度に進みません。この取組みはスタートしたばかりです。ひと言でいうと、今できる事から始めているところと考えて頂ければと思います。しかし、会員の皆さまのご理解と、ご支援・ご協力がなければ前に進みません。力をお貸し下さい。
共に手を携えて、力を合わせて、前を向いて頑張って行きましょう。
役員選任規程改定のお知らせ
特定非営利活動法人日本防災士会 役員選任規程
(目 的)
第1条 この規程は、特定非営利活動法人日本防災士会(以下、「本会」という)の役員選任に関する方法を定めたものである。
(役員選任の公示)
第2条 理事⾧は、役員を選任する総会開催日の40日以上前までに、役員選任について公示する。
(理事の立候補及び推薦)
第3条 理事に立候補する会員及び理事に会員を推薦したい会員は、公示期間内に、立候補届または推薦書を、事務局宛に電磁的方法により提出するものとする。
2 理事候補者及び理事候補者を推薦する者は正会員でなければならない。
3 理事に立候補しようとする者は他の会員を推薦することができない。
(理事候補者選任の基準)
第4条 理事候補者の選任基準は以下の通りとする。
2 本会の活動理念のもと健全な運営に資する意欲をもち、かつ本部役員として活動できる会員であり、PC スキルを有し、Web 等で随時連絡が可能な者。
3 本会での活動実績を有し、かつ本会支部連絡協議会(以下、「支部連」という)を構成する会員数を基準に各支部連の推薦(支部連推薦書添付)を受けた者。(本会支部連の構成基準は別に定める)
4 理事会は、理事定数の3分の1を超えない範囲で理事推薦候補を推薦することができる。
5 理事会推薦候補は本会正会員であり、かつ支部会員である者の中から以下の推薦基準に基づき各2名以内で推薦する。
(1) 災害時要支援者活動に顕著な実践及び経験を有する者。
(2) 地区防災計画推進に顕著な実践または経験を有する者。
(3) 防災分野での知識・技能を有する学識経験者。
(4) 被災地支援活動及び災害ボランティア活動の経験を有する者。
(5) 本会または支部において組織運営の経験を有しNPO 法に関する知識を有する者
(監事候補者の立候補及び推薦)
第5条 監事候補者の立候補及び推薦は、正会員の中から理事会または各都道府県支部が推薦するものとする。
2 監事の推薦基準は、本規程第3条及び第4条第2項に準ずるものとし、支部推薦の場合は支部推薦書の添付を要件とする。
3 監事候補者は、その職務に照らしてNPO 法及び法人会計を良く理解する者を優先する。(候補者の調整と選考委員会の設置)
第6条 理事及び監事の立候補者及び被推薦者の数が定款の定数を超えた場合、あるいは不公平な地域的隔たりが生じた場合は、立候補者及び被推薦者、推薦者と協議の上、定数の範囲内で調整をすることができる。
2 候補者の調整は、理事会にて選任された委員による「選考委員会」にて行い、理事会の承認を得て理事会案として総会に諮るものとする。
3 選考委員会は、選挙管理委員会を兼ねるものとする。
4 選考委員会の委員は、役員公示期間以前の理事会にて選任するものとし、その構成は、理事⾧と理事代表6名(東日本から3名、西日本から3名)の7名以内とする。(特定理事の担当職務の指名)
第7条 理事⾧は、理事会の承認を得て特定の理事に対して担当職務を命ずることができるものとし、その職務は組織担当、事業担当、渉外担当、財務担当とする。
2 組織担当、事業担当、渉外担当は副理事⾧をもって充てるものとし、財務担当は常務理事がこれにあたる。
3 組織担当は、本会の支部及び支部連絡会議等への支援・指導を行う。
4 事業担当は、本会が行なう事業を総括する。
5 渉外担当は、日本防災士機構、内閣府、防災科学技術研究所、日本放送協会(NHK)、その他防災関係団体との連携・調整を行う。
6 財務担当は、本会の財務・経理を統括する。
7 常務理事は本会の事務局を統括し、本会が行なう事業推進に伴う事務全般を担当するが、本部事務局での常勤もしくはそれに準ずる勤務可能な理事から選任する。
8 特定理事は原則兼務できないものとするが、理事⾧がやむを得ない事情が発生したと認めたときは理事会の承認を得て兼務を行うことができる。
(各種会議及び各委員会の設置)
第8条 本会の効率的な運営のためにおける三役会議を設置する。
2 三役会議の構成は理事⾧及び本規程第7条において指名した特定理事とするが、理事⾧が必要と認めた場合は各委員会委員⾧の出席を認める。
3 三役会議は、総会、理事会への付託案件の協議及び事業進捗状況の検証を行う。
4 各種会議及び各委員会の設置は別に定める。
(規程の変更)
第9条 この規定は、理事会の議決によって変更することができる。
2 この規定を改正した場合、理事⾧は速やかに会員に通知しなければならない。
附 則
この規程は平成28年2月27日より施行する。
附 則
この規程は平成30年3月24日より施行する。
附 則
この規程は平成30年6月24日より施行する。
附 則
この規程は平成30年6月24日より施行する。
附 則
この規程は、令和6年10月28日より施行し、以前の規程は廃止とする。